向精神薬とは、中枢神経系に作用し、鎮痛、鎮静、興奮等の作用をもたらす薬物のうち麻薬及び向精神薬取締法・政令で指定した物質をいいます。
これらの薬物は乱用と不正取引の防止のために規制され、その使用を医療上及び学術上の目的に制限されています。
医薬品として、精神安定剤、鎮痛剤、鎮静剤、睡眠薬等があります。
向精神薬はその乱用のおそれ及び有害作用の程度により第一種から第三種まで、3種類にわけられています。

向精神薬小売業者

向精神薬小売業者とは、都道府県の免許を受けて、処方せんにより調剤された向精神薬を譲り渡すことを業とする者です。ただし、薬局の許可を受けていれば、同時に向精神薬小売業者の免許を受けていると見なされますので特段の手続きはいりません。
なお、上記免許の見なしを辞退する場合は、届け出が必要です。

向精神薬の譲渡

向精神薬を記載した処方せんを所持する者以外の者に、向精神薬を譲り渡す事はできません。ただし、上記によらず向精神薬卸業者等から譲り受けた向精神薬を返品することはできます。
フェンタニル経皮吸収型製剤の処方せんを受けた場合、処方医師が事前に講習を修了した医師であるかの確認が必要です。

向精神薬の譲受

向精神薬は向精神薬営業者から譲り受けることができます。また、患者に譲り渡した向精神薬の返却を受けることができます。

向精神薬の表示

対象品目には「向(丸で囲む)」と表示してあります。

向精神薬の廃棄

向精神薬を廃棄するときは、焼却、稀釈等回収の困難な方法によらなければなりません。

向精神薬の保管

向精神薬小売業者は、その所有する向精神薬について盗難等の恐れがないようにその業務所に鍵をかける等必要な措置を講じなければなりません。

向精神薬の事故

所有する向精神薬について下記の数量以上の滅失、盗難、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその向精神薬の品名、数量、その他事故の状況を明らかにするための事項を、所轄の保健所に届け出なければなりません。
なお、鍵がこじ開けられている等、明らかに盗難と思われる場合は、下記の数量未満でも届け出るとともに、警察署にも届け出てください。

剤形数量
末、散剤、顆粒剤100g または 100包
錠剤(ODフィルム錠を含む)、カプセル剤、坐薬120個
内溶液剤10容器
経皮吸収型製剤10枚

記録(法第50条の23)

第一種及び第二種向精神薬を譲り受け、譲り渡し(患者に交付した分を除く)、又は廃棄したときは、次の事項を記録し、2年間保存しなければなりません。
①向精神薬の品名(販売名)及び数量
②年月日
③譲り受け又は譲り渡しの相手方の営業所等の名称・所在地

[具体的な記録の方法例]

①帳簿を用意し、上記事項を記録する。
②伝票を綴る。ただし、伝票に上記事項が記載されている必要があります。また、他の伝票とは別に綴ってください。
(注)
1)患者へ向精神薬を交付したとき、施用したとき、患者から向精神薬の返却を受けたとき、あるいは返却を受けたものを廃棄したときは、記録の必要はありません。
2)同一開設者が開設する薬局間で譲り受け又は譲り渡しがあった場合は、記録する必要があります。
3)譲り受け又は譲り渡しの相手方の本社の名称・所在地でなく、必ず直接譲り受けた営業所の名称・所在地を記録してください。

更新日:2014年4月15日